こんにちは Lulu.です。「ルルさん、これお好きでしょ。観てきて!」と、とても感覚(センス)の良い方に教えていただいた、ハルミ・クロフソフスカ・ド・ローラの展覧会『VESTIGIA NATURAE』。
「ん?ハルミ・クロフソフスカって…あーあの節子夫人のお嬢さん!バルタザール・クロソフスキー・ド・ローラ伯爵、画家のバルテュス氏のお嬢さん!」。
展示最終日だったので走った。青山一丁目から銀杏並木を走り抜けた。
主催は、2012年にヴァンクリーフ&アーペルの支援のもと創立されたジュエリーと宝飾芸術の学校 レコール。出版物や講義、展覧会といったプログラムを通じて一般の人々に宝飾芸術の世界への扉を開いています。
真っ暗な部屋に入ると飛び込んできたのが、ヤドリギの枝が絡み合い石英製の花が咲く繊細でダイナミックな燭台「MISTLETOE CHANDELIER」。
化石化した木、頭蓋骨、ホワイトゴールド、プレシャスストーンなど厳選した素材に、渋み(ブロンズ、つや消し、漆の重ね、彫金)の加工を施して生み出されるアートオブジェは、ハルミさんの好奇心と独特の感性、そして豊かな学識と知見が絡みあった奥深く奇妙で心魅かれる匂いを発していました。
「PHYLLIIDAE」。自らの姿を自然に模し、その姿を消してしまうというナナフシ。人間もナナフシのように自然と共存すべきであり、自然を破壊すべきではないというハルミさんのメッセージが込められている作品。
アジアでは豊作や長寿を祈願するお守りであるヘビ。その気品、柔軟性そして官能性をハルミさんは讃えてきたといいます。
「LAMPROPELTIS GETULA CALIFORNIAE」約15cmという桁外れな長さのイヤリングは、ハルミさんのヘビに対する強い興味を表現しています。
2016年春夏のヴァレンティノのクチュールですね!このティアラ。尾の先端の先細りが強烈に美しい「SERPENTES」。
Valentino Spring 2016 Couture Collection
「BANQUETTE SEKHMET III」。長さ166cmを越える雌ライオン。ハルミさんが愛でるふたつのインスピレーション源、猛獣に対する幻想とエジプト神話に対する深い興味が見事に開花したという作品。
24Kの金箔で覆ったブロンズ製、目の周りはラピスラズリ。
肩の筋肉がネコ科のしなやかさを感じさせる。
自分がずっと古代エジプトに惹かれていたからかもしれないが、《エジプト復古》からは強烈な匂いと音が感じられた。
「BANQUETTE MAHES」。戦の神であり、不偏秩序の擁護者であるマヘーシュが、野生のライオンの姿を借りて表現されています。ヒエログリフ書体のようなたてがみ!
小学生の時の朝読書はエジプトのガイドブック、「王家の紋章」を読み漁り、大学の時に念願叶って大ピラミッドの内部に入ってきた。当時はまだ自由に内部に入れたな(オフィシャルではない小僧に米ドルを握らせる必要はあったけど)。
あの時のあの匂いと音が蘇った。ピラミッド内の冷たい石から伝わる古代の人々の熱さ。静けさの中で遠いところから囁くように響く音。そして母なるナイルの水の匂い。
「BANQUETTE SOBEK」。ナイルのデルタ地帯で水と肥沃の神として崇拝されてきたセベク(ソベク)。
絡め取られ、引きずり込まれ、それでもなおそこに留まっていたい空間。
ハルミさんには一度だけお目にかかったことがあります。バルタザール・クロソフスキー・ド・ローラ伯爵を父に、日本人の節子さんを母に持つ方。
Balthasar Klossowski de Rola(バルタザール・クロソフスキー・ド・ローラ)
1908年、閏年の2月29日に生まれ。ポーランド貴族の血を引く美術史家の父、画家の母のもとに生まれた彼は、幼い頃から画家や詩人に囲まれた芸術あふれる環境で育ち、美術学校へ通うことなく、独自の画風を確立させていきました。
Setsuko Klossowska de Rola(節子・クロフソフスカ・ド・ローラ伯爵夫人)東京生まれ。上智大学フランス語科在学中の1962年に、当時ローマのメディチ館(ヴィラ・メディチ)の館長として京都を訪れた画家バルテュスと出会い、1967年結婚。ヴィラの経営を助けながら画家のミューズとして絵画のモデルも務め、バルテュスが他界した後は、バルテュス財団名誉会長に就任。また、ユネスコ平和芸術家として世界中を訪れ、ご自身も画家、随筆家として活躍されています。
柔らかく深く心に残る方でした。(両サイドは、アスティエ・ド・ヴィラットのイヴァンとブノワ)
パリ装飾芸術美術館 館長のオリヴィエ・ギャべさんがこう書かれていました。
芸術と絵画に情熱を傾けた彼女の両親は、熱烈に愛し合っていました。その娘は旅をしたり、引きこもったり、両親の世界を巡ったりもしましたが、他の世界へもまた行き来しました。そして現在、かつてないほど制作の充実感に包まれ、ハルミは彼女自身の作品の娘のようにきらきらと輝いているのです。
東京で開催される当展覧会は、昨今のジュエリー創作の様々な側面に光を当てること、知識の共有に寄与して知見を広めること、そして感動を伝えることという、本校の指名の一端を担うものとして行われます。(マリー・ヴァラネ=デロム(レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校 学長)/ ニコラ・ボス(ヴァンクリーフ&アーペル プレジデントCEO))
無料で開催されていたこの展示。インターメディアテクと同じような意識を感じました。(記事「東京駅前の「驚異の部屋」を見に行こう!インターメディアテク(東京大学総合研究博物館+日本郵便)② / 後編」)
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